芥川賞作家・平野啓一郎の同名小説を『蜜蜂と遠雷』の石川慶監督が映画化。弁護士の城戸が、かつての依頼人・里枝から受けたのは、亡き夫の身元調査をしてほしいという奇妙な依頼。“谷口大祐”と名乗っていた愛する男ははたして誰なのか―。 謎の男を巡るこの物語は架空の町が舞台となっているが、原作によると“宮崎県のちょうど真ん中あたりに位置するS市”とあることから宮崎県西都市がモデルとされている。さらに原作ではS市について、古代史の好きな人は巨大古墳群が、プロ野球好きは某球団の春季キャンプ地が、またダム好きは九州最大規模のダムがある、なかなか特色のある町とも記されている。今回は本作に影響を与えた西都市の魅力あるスポットを巡ってみよう。 |
「古事記」や「日本書紀」に描かれる日向神話の舞台である“神話のふるさと”宮崎県。西都市にある「特別史跡公園西都原古墳群」は、そんな古代の日本を感じさせてくれる場所だろう。南北4.2km、東西2.6kmという広大な敷地には、300基以上の古墳が点在。土塁がめぐらされた鬼の窟古墳(おにのいわやこふん)や酒元ノ上横穴墓群(さかもとのうえよこあなぼぐん)など特色ある古墳を見ることができる。古墳群の中に建つ「宮崎県立西都原考古博物館」では、趣向を凝らした演出で歴史や出土品を見せてくれる。 |
年間を通して温暖で快晴の日が多い宮崎県は、プロ野球をはじめサッカー、陸上、ラグビーなど多くのスポーツの合宿地に選ばれている。西都市では、「西都原運動公園」で東京ヤクルトスワローズのキャンプが、「清水台総合公園」ではJリーグの大宮アルディージャ、Vファーレン長崎などがキャンプを行っている。タイミングが合えば、ぜひ選手のプレーを間近で見てみよう。 |
西都市から南下して約1時間ほど、トロピカルムードあふれる日南フェニックスロード(国道220号線)を進むと見えてくるのが、鬼の洗濯板と呼ばれる奇岩に囲まれた「青島」だ。この地に鎮座する青島神社のご祭神である彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)と豊玉姫命(とよたまひめ)が愛を育んだ地と言われていることから、縁結びのパワースポットとして知られている。本作でも“大祐”が青島や古墳群などの風景を描いたスケッチブックを里枝に見せたことから、2人の距離が縮まった。 |
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監督:石川 慶 芥川賞作家・平野啓一郎による、読売文学賞を受賞した小説「ある男」の映画化。監督を務めるのは、『愚行録』『蜜蜂と遠雷』の石川慶。“ある男”の正体を追う主人公の弁護士・城戸を妻夫木聡が演じる。城戸に亡き夫の身元調査を依頼する里枝役に安藤サクラ。里枝の夫であり「大祐」として生きた“ある男”役に窪田正孝。さらに、清野菜名、眞島秀和、小籔千豊、仲野太賀、真木よう子、そして柄本 明ら日本を代表する豪華俳優陣が顔をそろえた。また、第46回日本アカデミー賞では最優秀作品賞を含む同年度最多の8部門(ほか最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀主演男優賞、最優秀助演男優賞、最優秀助演女優賞、最優秀録音賞、最優秀編集賞)を受賞した。 弁護士の城戸(妻夫木聡)は、かつての依頼者である里枝(安藤サクラ)から、亡くなった夫・大祐(窪田正孝)の身元調査という奇妙な相談を受ける。里枝は離婚をし、子連れで故郷に戻り、やがて出会う大祐と再婚。そして新たに生まれた子供と4人で幸せな家庭を築いていたが、ある日、大祐が不慮の事故で命を落としてしまう。悲しみに暮れる中、長年疎遠になっていた大祐の兄から、遺影が大祐ではないと衝撃の事実を告げられる。愛したはずの夫は、名前もわからないまったくの別人だったのだ…。大祐として生きた男は、いったい誰で、なぜ別人として生きていたのか。ある男の正体を追い“真実”に近づくにつれて、いつしか城戸の心に複雑な思いが生まれていく―。 |
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『ある男』
・発売日:Blu-ray&DVD好評発売中・発売・販売元:松竹 ・価格:Blu-ray 特別版(数量限定生産) 7,040円(税込) DVD 4,620円(税込) (C)2022「ある男」製作委員会 ※2023年12月時点の情報です |