詩人であり童話作家であり、さらに教師や農業指導者としても活動した宮沢賢治。本作はそんな彼の37年という短い生涯を、父親の視点で描いたユニークかつ感動的な物語だ。父・政次郎役の役所広司をはじめ、菅田将暉、森七菜ら演技派が、知られざる宮沢家の機微を鮮やかに浮かび上がらせている。賢治の故郷といえば岩手県花巻市だが、撮影は映画のイメージに合うとして岐阜県恵那市を中心に行われた。 |
名古屋から車で1時間ほど、日本のほぼ真ん中に位置する恵那市は、雄大な自然や歴史ある建物、ローカル電車など地域によってさまざまな表情を見せてくれる。本作の主な撮影地となった岩村町エリアは、江戸時代の面影を今に残しており、映画さながらのノスタルジックな町並みが広がっている。 |
岩村町のシンボルである「岩村城跡」は、標高717メートルに築かれた山城で、奈良県の「高取城」、岡山県の「備中松山城」と並び日本三大山城のひとつであり「日本百名城」にも選ばれている名城だ。現在は石垣を残すのみだが(表御門など一部が復元)、高低差180メートルの地形や霧が発生する気象条件を活かした巧みな造りは、700年という長きにわたり要害堅固な城として名をはせた、在りし日の姿を思わせる。 |
そんな岩村城跡のお膝元であった「岩村城下町」には、全長約1.3kmの通りに商家や旧家、なまこ壁など当時の面影を残す建物が建ち並ぶ。劇中の宮澤家の質屋と宮澤商店のシーンは、この一角にある大問屋の「木村邸」が舞台となった。映画では江戸時代に藩の財政を幾度となく救い、藩主自らも訪れたという玄関などを見ることができる。 |
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監督:成島出 第158回直木賞受賞のベストセラー小説「銀河鉄道の父」を完全映画化。唯一無二の詩や物語で、今もなお世界中から愛されている宮沢賢治が「ダメ息子だった!」という大胆な視点から、賢治への無償の愛を貫いた宮沢家の人々を描いた本作品。メガホンをとったのは『八日目の蟬』や『いのちの停車場』、『ファミリア』など、人と人との触れ合いや絆を通して、人生の豊かさを描いてきた成島出監督。宮沢賢治の父・政次郎を演じるのは役所広司。賢治役に菅田将暉。賢治の妹・トシには、森七菜。弟・清六には豊田裕大。賢治の母・イチには、坂井真紀。賢治の祖父・喜助には、田中泯など、日本を代表する名優と気鋭の若手俳優の競演が実現した。 質屋を営む裕福な宮沢家の長男に生まれた賢治(菅田将暉)は、跡取りとして大事に育てられるが、家業を断固として拒み、農業や人造宝石に夢中になって、父・政次郎(役所広司)と母・イチ(坂井真紀)を振り回す。さらに、宗教に身をささげると東京へ家出してしまう。そんな中、賢治の一番の理解者である妹のトシ(森七菜)が、当時は不治の病だった結核に倒れる。賢治はトシを励ますために、一心不乱に物語を書き続け読み聞かせる。だが、願いはかなわず、トシは息を引き取る。「トシがいなければ何も書けない」と慟哭する賢治に、「私が宮沢賢治の一番の読者になる!」と、再び筆を執らせたのは政次郎だった。しかし…賢治にトシと同じ運命が降りかかる―。 |
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『銀河鉄道の父』
・発売日:Blu-ray&DVD発売中・発売元:キノフィルムズ/木下グループ ・販売元:ハピネット・メディアマーケティング ・価格:Blu-ray:5,280円(税込) DVD:4,290円(税込) (C)2022映画「銀河鉄道の父」製作委員会 |