毎日を怠惰に過ごす孫が、ひょんなことから伝説的ロックンローラーの祖父と入れ替わって1970年へ!? そこでは今と比べ物にならない刺激的な世界が広がっていて――。沖縄市コザを舞台に、1970年代と現代が交錯する、桐谷健太主演のタイムスリップ・コメディ。今回は物語のメイン・ステージともいえるコザに注目してみよう。 |
沖縄本島中部に位置する沖縄市は、那覇市に次いで人口が多いエリア。映画の舞台であるコザは、1974年にコザ市と美里村が合併し沖縄市となったが、市の中心街は今でも「コザ」の愛称で親しまれている。 米軍嘉手納基地のゲートと国道330号線を結ぶ「コザゲート通り」は、コザのメイン・ストリート。戦後、アメリカと沖縄、2つの文化が交じり合いながら、独自のカルチャーを生み出してきたこの通りには、英語の看板が並び、日本ではないような独特の雰囲気が漂っている。 |
映画では、ゲート通りにある名物店でも撮影が行われた。嘉手納基地のゲートからほど近くにある「cafeOCEAN」は、劇中でハル一家が経営している店として登場。ここは創業56年を迎える手作りタコスのお店で、ミュージシャンでもある店主ヤラヤッシーさんのライブも楽しめる。続いてハル(桐谷健太)ら「インパクト」のメンバーも通っていたのは、老舗の“Aサイン※バー”「スナック喫茶 プリンス」。ベトナム戦争へ兵士たちが帰還を願ってサインをした1ドル札が壁一面に貼りめぐらされた店内は、私たちを70年代へタイムスリップさせてくれることだろう。このほかにも個性的な店がたくさんあるので、ぜひコザならではの雰囲気を味わおう。 ※本土復帰前の沖縄で、米兵後任の飲食店・風俗店に与えられた営業許可証。 |
さて、コザといえば音楽の街として有名である。特に、翔太がタイムスリップした1970年代から80年代は、米兵たちを相手にしたハードロックの全盛期であり、その刺激的なサウンドはオキナワン・ロックと呼ばれ全国を席巻した。本作では、そのトップランナーであった伝説のバンド「紫」が全面協力しており、彼らが体験した破天荒なエピソードも盛り込まれている。国道330号線沿いにある「7th Heaven Koza(セブンスヘブンコザ)」は、「紫」のリーダー・ジョージ紫さんの息子さんがオーナーを務めるライブハウス。劇中では「インパクト」の拠点となるライブハウスとして登場した。「紫」やオーナーのRayさんのバンド「8-BALL(エイトボール)」をはじめ、有名ミュージシャンのライブが楽しめる。 |
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監督:平一紘 桐谷健太が主演を務め、1970年と現代が沖縄市コザで交差するタイムスリップ・ロックンロール・エンターテインメント。第3回「未完成映画予告編大賞(MI-CAN)」でグランプリと堤幸彦賞を受賞した作品を基に、沖縄市出身の平一紘が監督・脚本を手がけた。1970年代に活躍した沖縄県出身の伝説的ハードロックバンド「紫」が全面協力し、劇中に登場するバンドのライブ音源を新たにレコーディング。劇伴音楽を同バンドベーシストのChrisが担当し、ボーカリストのJJは印象的な役どころでの出演を果たした。そして主題歌は沖縄出身のバンド「ORANGE RANGE」が手がけた。 沖縄市コザ―かつては隆盛を極めた街だが、現在ゴーストタウンの一歩手前!? そこで暮らす若者・翔太(津波竜斗)にはちょっと変わった祖父・ハル(小池美津弘)がいた。ハルは、かつてはベトナム戦争に向かう米兵たちを熱狂させた伝説のロックンローラーだった。ある日、ハルを交通事故で亡くし、失意の翔太の前に現れたのは、なんと死んだはずの祖父。「やり残したことがある」とハルが翔太の体をのっとると、翔太の魂はタイムスリップして1970年代のハル(桐谷健太)の体の中へ…。翔太はロックンローラーだったハルとして、ベトナム戦争特需に沸く70年代の沖縄で、驚きの真実を知り、未来へのサプライズを仕掛けようとする。 |
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『ミラクルシティコザ』
・発売日:Blu-ray発売中・販売元:オフィスクレッシェンド ・発売元:マイシアターD.D. ・価格:Blu-ray 6,578円(税込) (C)2021 Office Crescendo |