帰れない事情を抱えた少女・更紗(さらさ)と孤独な大学生・文(ふみ)は、つかのまの幸せな時を過ごすが、世間は二人に“被害女児”と“誘拐犯”の烙印(らくいん)を押す。そして事件から15年後、二人は偶然に再会するが……。2020年本屋大賞を受賞した凪良ゆうの同名小説を、広瀬すずと松坂桃李主演で映画化。 『悪人』『怒り』の李相日監督と『パラサイト 半地下の家族』のホン・ギョンピョ撮影監督がこの物語の舞台に選んだのは、長野県松本市。古き良き城下町の風情と現代の趣がなじんだ松本の情景は映画の世界観をより際立たせている。今回は文(松坂桃李)のカフェ「calico」として撮影された女鳥羽川(めとばがわ)周辺のスポットを巡ってみよう。 |
まずは松本市のシンボルである松本城へ。姫路城、彦根城、犬山城、松江城とともに国宝に指定されているこの城は、現存する五重六階の天守としては日本最古の城である。白漆喰(しろしっくい)と黒漆で塗り分けた二色のコントラストは、背景にそびえる北アルプスの山々と相まってとても優美だ。天守閣からは、松本市街地や北アルプスなど素晴らしい眺望が楽しめる。 |
女鳥羽川の南側にある「中町通り」は、城下町の風情を今に残す商店街だ。江戸、明治で度々起こった大火から守るために、漆喰(しっくい)のなまこ壁の土蔵が建てられたのがその始まり。通りには民芸品店やレストランなどが軒を連ねる。文の店のようなおしゃれなカフェも多いので、お気に入りの一軒を見つけてみよう。また、通りの中央にある造り酒屋を移築した「中町・蔵シック館」では母屋と離れを無料で見学でき、土蔵を改築したカフェでは落ち着いた空間の中でティータイムを楽しめる。 |
松本城から歩いて5分ほど、女鳥羽川沿いにある「縄手通り」は、一本の縄を伸ばしたようなまっすぐな道に、雑貨屋や古道具屋、軽飲食店などが建ち並ぶ。かつての女鳥羽川にカジカガエルが生息していたことから、別名カエル通りとも呼ばれており、いたるところに「カエル大明神」をはじめカエルのモチーフが。歩行者天国なのでゆったりと散策しながらカエルを探してみよう。 |
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『流浪の月』 ・発売日:Blu-ray発売中・販売・発売元:ギャガ ・価格:Blu-rayコレクターズ・エディション(3枚組):7,480円(税込) (C)2022「流浪の月」製作委員会 |
監督:李相日 2020年本屋大賞を受賞した凪良ゆうのベストセラー小説を、『悪人』『怒り』の李相日監督が映画化。主演の二人には、帰れない事情を抱えた少女・更紗役に広瀬すず、彼女を家に招き入れた孤独な大学生・文役に松坂桃李を迎えた。また、更紗の現在の恋人・中瀬亮を横浜流星、心の傷を抱える文に寄り添う看護師・谷あゆみを多部未華子が演じる。『パラサイト 半地下の家族』『バーニング 劇場版』のホン・ギョンピョが撮影監督を担当。 引き取られた伯母の家に帰りたくない10歳の少女・更紗(白鳥玉季)は、その日も公園でひとり本を読んでいた。折から降りはじめた雨に濡れる彼女に傘をさしかけたのは、19歳の大学生・文(松坂桃李)。「うち、来る?」―そのひと言からはじまったふたりの共同生活はとびきり自由で温かく、はじめて互いに息のつける奇跡のような日々だった。けれどその夏の終わりのある昼下がり、文が誘拐犯として逮捕され、2人のつかの間の幸せは終わりを告げる。15年後、恋人と一緒に暮らしていた更紗(広瀬すず)は、カフェを営む文と偶然の再会を果たすがー。 |