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太宰治の名作「斜陽」の執筆75周年記念作品。名匠・増村保造監督と脚本家の白坂依志夫が遺した脚本を、当時助監督を務めていた近藤明男監督が新たに脚色し映画化。戦後の日本を舞台に、没落貴族の娘・かず子が売れっ子作家との許されぬ恋に溺れていく“滅びの美”を描く。本作のロケ地のひとつとなった山梨県は、太宰治とも縁の深い場所。今回は、撮影に使われた山梨市の根津記念館や、太宰が過ごした場所を巡ってみよう。 |
まずは本作の原作者・太宰治と山梨県の関係についておさらいをしよう。1938(昭和13)年に、井伏鱒二の勧めで山梨・御坂峠の天下茶屋に滞在したのを機に、太宰はその後妻となった美知子と甲府で一時期を過ごした。「山梨県立文学館」では、そんな太宰のほか、芥川龍之介や井伏鱒二、樋口一葉など山梨県出身・ゆかりの文学者の作品や資料を見ることができる。直筆原稿などに触れ、世間を騒がせたスキャンダラスな天才作家・太宰治を間近に感じてみよう。 | ![]() |
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太宰が妻と過ごした甲府では、彼と縁の深い場所が多くある。約1200年前に弘法大師が開湯し、「信玄公の隠し湯」としても知られる湯村温泉郷もその1つで、太宰は新婚時代にたびたび訪れたという。小説『美少女』でも「湯村のその大衆浴場の前庭にはかなり大きい石榴(ざくろ)の木があり、かっと赤い花が満開であった」と描かれたこの温泉は、お湯がやわらかく美肌の湯としても人気だ。 |
県道708号線にある旧御坂峠は、富士山と河口湖を望むドライブコースで、古くは日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東国遠征の際に越えたと伝えられる歴史ある道だ。この旧御坂峠沿いにある天下茶屋は、「富士には月見草がよく似合ふ」の一節で知られる「富嶽百景」の舞台となった場所であり、太宰はここに約3カ月滞在した。2階には、当時太宰が滞在していた部屋を復元した「太宰治文学記念室」がある。富士山を眺めながら、文豪たちが愛した名物・ほうとう鍋をぜひ味わってみよう。 | ![]() |
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『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』 ・発売日:発売中・発売元:(株)彩プロ ・販売元:TCエンタテインメント ・価格:4,180円(税込) (C)2022「鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽」製作委員会 |
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監督:近藤明男 ![]() ![]() 太宰治の名作小説「斜陽」を、『うさぎ追いし 山極勝三郎物語』『ふみ子の海』の近藤明男監督が映画化。名匠・増村保造の助監督を務めていた近藤監督が、増村監督と脚本家・白坂依志夫が遺した草稿脚本をもとに脚本を完成させた。本作が映画デビューとなるモデル出身の宮本茉由がかず子役で初主演を務め、母・都貴子を水野真紀、弟・直治を奥野壮、太宰が自らを投影した作家・上原を安藤政信が演じる。さらに柄本明、萬田久子、田中健、細川直美、春風亭昇太ら演技派、実力派の面々が脇を固める。 ![]() ![]() 敗戦後の昭和20年、没落貴族となった上、父を失ったかず子(宮本茉由)とその母、都貴子(水野真紀)は生活の為に本郷西片町の実家を売って西伊豆で暮らすことになった。そんな折、戦地で行方不明となっていた弟の直治(奥野壮)が帰還するとの知らせが入ると、母は「歳の離れた資産家に嫁いだらどうか」とかず子に話す。激怒したかず子は「鳩のごとく素直に、蛇のごとく慧かれ」というイエスの言葉とともに6年前の出来事を想いだす。まだ学生だった直治が師匠と仰ぐ中年作家、上原二郎(安藤政信)との出会いである。それは一夜の恋心の目覚めであった。 |