左から、
インゲン、きす、 巻海老2本
エビとは小さい車エビのこと。繊細な甘みがあって歯切れもいい。天つゆは亀節を毎日削って仕込んでいる
香ばしい衣を頬張れば中から素材の旨みと香りが弾ける。パリパリではなくサクッとした食感に仕上げるのが理想という
「天ぷらは揚げ手の心が表れる」とは創業92年の看板を守る店主、鈴木さんのお言葉。刻々と変わる素材、衣、油の状態を把握し、常に同じ仕上がりになるよう仕事を施すのが先代からの教えだ。鍋前の自身の姿が「父に似てきた」と笑うが、それは受け継がれる技が体に染みついた証だろう。もちろん素材のこだわりもそのまま。特に穴子は基本的に羽田沖の江戸前と決めている。衣は厚過ぎず薄過ぎず、素材がうっすら透けるいい塩梅。油はふたつの鍋を使い分け、エビの香りが強く出るかき揚げは専用の鍋を用意する徹底ぶりだ。血合いを含む亀節の削りたてを使う奥深い天つゆもこの店の特長。江戸っ子、鈴木さんの所作と接客を楽しむならカウンター席を予約しよう。
エビとは小さい車エビのこと。繊細な甘みがあって歯切れもいい。天つゆは亀節を毎日削って仕込んでいる
かき揚げは人気の品。丼にも変更できる