飾り気のない素朴なルックスがキュンとするほど愛おしい。軽いウェーブをやさしく持ち上げ、口いっぱいに受け止めれば、気立てが良くて純真な、故郷のあの子のような懐かしさ……あ、ラーメンのことです。昭和初期に目黒で創業。親戚でのれん分けしつつも初代の味を今に受け継ぐのがここ、五反田の「平和軒」だ。豚骨メインのスープは飲み干せるほどおだやかなのに、主張し過ぎない深い旨みが凛とした印象を与えている。自家製麺はスープと相思相愛の絡みを考えて細めのちぢれ。小麦の香りもふんわり。はぁしみじみ旨いのです。今日も”あの子”に会いに行こうかな。

黒酢餡が風味豊か。大きな豚肉にシャキッと歯応えの野菜が美味。「酢豚の日」を待ちわびる常連も多いとか